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カンヌ国際映画祭 コンペティション部門|2018年からはフランス国内の映画館での上映予定のある作品のみに

フランスでは劇場公開作品が3年ものあいだ定額制動画配信サービスで鑑賞出来ないとは!



webDICE  2017年5月13日付け記事
Netflix 対 カンヌ国際映画祭、来年からは映画館での上映予定のある作品だけに( ttp://www.webdice.jp/dice/detail/5400/ )

フランスでは、映画館を守るためにウインドウ期間の厳密な規制があり、Netflixのような定額制動画配信サービス(SVOD)は、劇場公開後36ヵ月=3年後でないと配信できない。Netflixが制作した2作はこの条件を満たしていないためだ。同社がこの2作をフランスで限定的に劇場公開するのではないかとも報じられていたが、今回の発表で、映画祭側とNetflix側がその合意に達しなかったことが明らかになった。今回の規定変更は2018年より実施されるため、この『オクジャ』と『The Meyerowitz Stories』が出品を取りやめになることはない。しかし来年からは、劇場公開よりも全世界配信を優先するNetflixの作品は、実質的にコンペに出品できなくなる

「コンペティション部門」には選出されなくなるが「ある視点部門」へは選出可能なのか?どうなんでしょうかね?





ネットフリックス側もカンヌ映画祭側の要求を一方的にはねつけたというわけではなさそう。


Varietyの11日の報道でフランス映画庁は、Netflixが3年間のウインドウ規制免除のために、インディペンデント作品を配給するTHE JOKERS FILMSと交渉し、『オクジャ』を1週間に最大6回上映することを検討していたと明らかにした。しかしこれは実現しなかったため、現在NetflixとTHE JOKERS FILMSは、『オクジャ』の配信が開始される6月28日に、自主上映を行う劇場で同時公開することを計画しているという。こうした自主上映は、フランスのウインドウ規制の適用外となっている。

他の国際映画祭はどういう方針を出すのか? 特にベネチア国際映画祭はどうするのか? 「うちはネットフリックスはじめ動画配信サービス会社製作の作品だってOKですよ」と言えば「じゃあカンヌはやめてベネチアへ出そうかな……」ってことになるかもしれないから、低迷 / 規模縮小傾向と言われるベネチア国際映画祭にとってはチャンス!

アマゾンは今のところ「劇場公開後36ヵ月間は配信できない」という決まり事を守っているそうだし、そうなるとカンヌのコンペ入りを狙いたいフィルムメーカーはネットフリックスではなくアマゾンなど他の配信会社へ企画を持ち込むようになるかもしれないし、そうなると良い企画を他社へ持っていかれる可能性も出てくるネットフリックスとてどこまでカンヌを拒めるか? あくまでも強気で臨むのか?


(2018/08/31追記)
ベネチア映画祭はNetflixを差別しない!カンヌ騒動にも言及( ttps://www.cinematoday.jp/news/N0094095 )

現地時間30日、第74回ベネチア国際映画祭にて審査員会見が行われ、今年5月にNetflix作品がコンペティション部門に選出され物議をかもしたフランスのカンヌ国際映画祭とは違い、Netflix作品がコンペティション部門に選出されなかったことについて、本映画祭ディレクターのアルバート・バルベーラが語った。 (中略) バルベーラは2015年にNetflix作品『ビースト・オブ・ノー・ネーション』がコンペティション部門に選ばれていたことに触れながら、「2年前は、誰も何も言わなかった」と口を開く。 (中略) バルベーラは「あのような規制は他の国にはない」と、フランスには映画館を守るためにNetflixなどのオンラインストリーミングサービスでの映画配信が劇場公開後36か月経たないとできない厳密な規制があることを引き合いにだし、カンヌの大論争が特殊なケースであったことを指摘。 (中略) 「NetflixやAmazonは現在、映画製作や配給において大きな役割を担うようになっています。もし、(マーティン・)スコセッシやコーエン兄弟のような、監督たちが彼らと働くと決めたなら、単純に劇場公開されていないからという理由だけで、映画祭のディレクターがそれらの映画を差別する理由が私にはわかりません」と言い切り、今年こそ出品はなかったものの、劇場公開されていない作品もコンペティション部門に選出していく姿勢を見せた。

ベネチアがカンヌに追随したらサイテーだなっと思っていたけれど、やっぱりそうきますよね。





映画配給会社ワイルド・バンチの副社長のヴィンセント・マラヴァル氏も「私だったらヴズール(東フランスの小さな地方都市)の単館映画館で上映するだろう。フランスの配給会社がよくカナル・プリュス(有料民間テレビ局)からの資金援助を得るためだけにするようにね」とNetflixの方針について言及。「問題は、この法律がインターネットと海賊行為が起こる前に制定されたということ。映画業界は新しい社会の状況に対応することを拒んでいる」と、今回のNetflixとカンヌと劇場公開の問題が、現在の社会の動きに対応できていないフランス映画界のシステム上の矛盾を露呈させたと発言した。

「フランスでは公的補助金制度も充実している」と大変善きこととして喧伝されていますが、補助金で作られる映画の公開実態は「(補助なり資金援助を受けるために)ごく小規模で劇場公開する」に留まり、”劇場公開作品という看板を掲げているものの映画館ではほぼ鑑賞されていない” ということですかね。

「フランスにおいては劇場公開作品は3年間、定額制動画配信サービスで鑑賞出来ない」となるとその間に海賊版が出回ってしまうということですね。海賊版を減らすには「正規版を適正価格で出来る限り早く世に出す」のが一番ですから。配信サービスでは3年待たされるけれどDVDやブルーレイなどディスクの販売やレンタルは可能なんでしょうかね?

フランスでも人口の少ない地方では映画館だって少ないでしょうし公開作品も限定されてくるでしょう。そんな中で、劇場公開作品が3年ものあいだ定額制動画配信サービスで鑑賞出来ないというのはフランスの観客にとってはかなりの不利益になっているのでは? フランス国内の映画館数がどの程度なのか、またDVDやブルーレイなどディスクのレンタル環境がどうなっているのかは分かりませんが、今のこの時代に動画配信サービスでの公開を3年も待たされるとは。

この問題をきっかけにフランス国内の映画鑑賞環境の(一般観客側からみての)不備が露わになる感じです。カンヌ帰りのフィルムメーカーは「フランスの制度は素晴らしい」しか言わないもんなあ。作り手側 / ”映画館での鑑賞” 至上主義の人 / 映画館がたくさんある都会住みの人 にとってはいいかもしれないけど、そうじゃない人にとってはけっこうキツイんじゃないの?







ここまでアートハウス系映画やインディペンデント映画を保護しているフランスで、一般の映画観客はそれにどう応えているかといえば……


BoxOffice mojo.com  2016年フランス劇場興行収入ランキング
(正確には、フランスに加えアルジェリア等数か国ぶんを合算した劇場興行収入ランキング)
France and Algeria, Monaco, Morocco and Tunisia Yearly Box Office(2016)


見ていただくと分かる通り、上位はアメリカ・ハリウッドのブロックバスター映画が並んでいます。7位『レヴェナント: 蘇えりし者』は内容的にはアートシネマ・タイプの作品ですね。ただし配給会社はFOXですから大手です。フランス国産映画も上位に食い込んでいますが、それらはコメディ映画もしくはコメディ寄りのドラマ映画です。小規模タイプのアートハウス系映画の最上位は49位のグザヴィエ・ドラン監督作『たかが世界の終わり』となります。(アメリカドルで $7,689,552 の興行収入|約8億円:1ドル113円見当) フランスの人口は約6,699万人(2017年1月現在) 日本は1億2,686万人ですから、フランスの人口は日本の約2分の1程度です。