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映画『最後の追跡』も劇場未公開なのに、それになぜ言及しないの?|読売新聞 2017年9月6日付け記事『アカデミー賞「フェンス」はなぜ劇場未公開なのか』

『最後の追跡』だって2016年度(第89回)アカデミー賞作品賞にノミネートされたけど劇場未公開なのに。(ネットフリックスで公開済み。『最後の追跡』は作品賞ノミネートが発表された段階ですでに配信されていたはず。)

なぜ『フェンス』だけが劇場未公開であることを取り沙汰されるのか? なぜ『最後の追跡』には触れないのか。

『フェンス』は2017年4月26日にデジタルセル&レンタル先行配信が開始になっているので、『メッセージ』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ハクソー・リッジ』などよりもよっぽど早く日本国内で鑑賞可能だった。『ドリーム』など2017年9月7日現在、日本でまだ公開されていない。(『ドリーム』は2017年9月29日に劇場公開開始)

劇場公開されることにこだわった言説。都市部では劇場公開されても田舎じゃ未公開で終わる映画なんてたくさんあるのに。劇場公開作扱いされる作品だって地方在住者にとっては未公開作、そういうのがあるのに。それをどう考えているのか?

(『ドリーム』だってむしろノミネートが決まった段階でディスクレンタルか配信でリリ-スしてくれたほうがよかったと、少なくとも私はそう思っている。『ドリーム』の劇場公開状況を見てみて。中四国の無残な状況を。劇場公開作になったので、さらにディスクの発売/レンタルや配信は遅くなる。)

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読売新聞  2017年9月6日付け記事
筆|読売新聞調査研究本部主任研究員 福永聖二

アカデミー賞「フェンス」はなぜ劇場未公開なのか( ttp://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170905-OYT8T50058.html?page_no=1 )

ワシントン自身も、アカデミー賞を2回受賞(1989年「グローリー」で助演男優賞、2001年「トレーニング・デイ」で主演男優賞)しており、当然ながら監督、主演した新作は米国でも大きく注目された。ところが、それだけの作品でありながら、授賞式後も日本では上映の機会に恵まれず、6月になってようやくDVD、ブルーレイが発売された。劇場未公開作がDVD化されるのはごく普通のことだが、この映画の場合は話が違う。アカデミー賞主要部門を受賞しながら劇場公開されなかったのは極めて異例なケースだと言えるだろう。

※『フェンス』は2017年4月26日にデジタルセル&レンタル先行配信開始。

作品賞ノミネートが最大で10作品まで拡大している今、劇場公開されない作品が出てきてもおかしくはないような……。枠が増えて以降「確かに良作だけれど、これはわざわざノミネートさせなければならないような作品なのだろうか」と思うようなものも無きにしも非ずだし。そういうことも影響してか、アカデミー賞受賞作 or ノミネート作というのは金看板ではあるものの売り文句としては効き目が落ちてきているし。極めて異例だとすればそれは「作品賞ノミネート9作品のうち劇場公開されなかった作品が(1作品のみならず)2作品もあった」ということでは?




70年以降のアカデミー賞主要部門受賞作で日本未公開なのは、「セイブ・ザ・タイガー」「サンシャイン・ボーイズ」「メルビンとハワード」の3作だけ。アカデミー賞で主要賞を受賞すること自体、作品の質も保証されたようなものと言える。受賞したのに公開されないのは、極めてまれな作品だけなのだ。今回の「フェンス」は、アカデミー賞主要賞を受賞した作品としては、助演女優賞の受賞作「メルビンとハワード」以来、なんと36年ぶりの日本未公開作となった。では、なぜ日本で「フェンス」の劇場公開が見送られたのだろう。その背景には、外国映画の興行が困難になっているという構造的な問題がある。

●『セイブ・ザ・タイガー』は1973年度(第46回)アカデミー賞の主演男優賞を受賞。作品賞にはノミネートされていない。
●『サンシャイン・ボーイズ』は1975年度(第48回)アカデミー賞の助演男優賞を受賞。作品賞にはノミネートされていない。
●『メルビンとハワード』は1980年度(第53回)アカデミー賞の助演女優賞と脚本賞を受賞。作品賞にはノミネートされていない。





映画興行に詳しい映画ジャーナリストの大高宏雄さんは「洋画で当たっているのは、ディズニーの『美女と野獣』のようなアニメと、分かりやすい超大作ばかり。観客はヒットしている作品に集中し、それ以外はだめ、という極端な状況になっている。以前ならヒットしたような、スター出演作や中規模のアクションなどは、ほとんど赤字で、若い人たちは、どんな作品か分からない外国映画よりは、マンガ原作で中身を予想できる日本映画を選ぶ」と言う。

※ 日本で2017年に劇場公開された『美女と野獣』はアニメ映画ではなく実写映画。



特に厳しいのがかつて「単館系」と言われたアート系の作品だ。映画評論家の渡辺祥子さんは「今の観客は、自分の尺度を持っていない。誰かが面白いと言った作品を選ぶなど、他者の評価を気にする。考えさせるような作品は避け、気楽に楽しめる作品を選ぶ傾向にあると思う」と語る。

●「誰かが面白いと言った作品を選ぶなど、他者の評価を気にする」のはなにも今に限ったことではない。

● お二人の分析は間違ってはいないとは思う。でも……。 『観客は「映画館へ行って鑑賞する映画」と「それ以外の方法で鑑賞する映画」を分けている。単館系と言われるようなタイプの作品も以前は映画館で見ていたが、今は自宅でディスクレンタルや配信で見る』これが最大の理由ではないかと。

●あとは『単館系映画を見る若い観客が育っていない(洋画を見るとしてもシネコンで上映しているタイプしか見ない)』(単館系映画と言われるようなタイプの映画を見た経験がない。知る機会がない。ということで関心がない/単館系映画館へ行かない(やっぱ設備のよいシネコンのほうがいいよね)/単館系映画館というものの存在自体を知らない/そもそも居住地近辺に単館系映画館が無い)とか。地方では地上波TVで繰り返し放映されたことがあるシリーズもの洋画ならば若い観客も入るけれど、そうでないものは……。いずれにしても、理由は複合的なもので、ひとつに限定は出来ないと思う。




また、かつては、小品でもその特徴を捉え、作品に合った宣伝戦略を練り上げて、ヒットに結びつけようと努力するプロの宣伝マンがいた。今では何かを仕掛けるようなユニークな宣伝はほとんど行われていない。渡辺さんは「かつてのノウハウは継承されず、熱心な宣伝マンはほとんどいなくなってしまった」と嘆く。

宣伝マンのみなさん、こんなこと言われてますよ。そうなんですか? 時代も変化しているので、かつての宣伝ノウハウが通用するのかどうかという問題もある。




メジャー系が配給しない場合、独立系の映画会社が買い付けることもあるが、この作品ではそれもなかった。大高さんはその理由について「おそらく単純に、『ビジネスにならないから』。買い付け額に見合う興収を見込めないとなかなか難しい。今は映画を文化として考える映画会社の人が少なくなり、経済原則が中心になっている」と語る。「フェンス」の場合、デンゼル・ワシントンの監督、主演作であることに加え、アカデミー賞を受賞したため、買い付け額を下げることが難しくなったという事情もありそうだ。 映画はビジネスであると同時に文化でもある。だが、近年は映画会社もビジネス優先になっており、効率性が第一。作品一つ一つを大切に扱う余裕もなくなっている。ヒット作が集中しているディズニー以外の洋画配給会社は、体力的にも厳しく、どうしてもリスクを避けたがる。

●「ビジネスにならないから。買い付け額に見合う興収を見込めない」記事タイトルへの答えはこの一文で済む。景気のいい時代なら「映画は文化であってビジネスだけではないから売り上げが見込めない作品も公開しますよ」は実行可能。けれど、20年以上不景気が続いてきた挙句の果ての今、外国映画配給会社に ”ビジネス優先を止めてくれ” と望むのも酷。非営利団体じゃないんだし。

● 一般紙の記事だから映画に関心の無い人々への説明としてこれだけの長文になっているのでしょうが、ある程度の映画好きならすでに周知の事実ばかり。作品内容の紹介に全体の4分の1程度を割いている。そこまでする必要はあるの? 記事からみるに、東和ピクチャーズはもとより日本の外国映画配給会社へ取材にも行っていない。(おそらく、昔馴染みの)映画ジャーナリストと映画批評家にちょこっと話を聞いただけのお手軽仕様。大手の新聞社の調査研究本部主任研究員がこの程度の調査研究なの? なぜ、いろんな外国映画配給会社へ取材に行かないのか?




しかし、今ここで力を入れなければ、外国映画の人気はずるずると低下するばかりではないだろうか。 大作でなくとも、これぞという作品には、宣伝に知恵を絞って取り組み、観客を集める努力をすることが望まれる。それを続けていく以外に、観客の足を劇場に向けさせることは難しい。このまま放置していれば、優れた外国映画が観客に届かないまま埋もれてしまうばかり。「フェンス」のようにアカデミー賞を受賞している秀作が公開されないケースは、今後も増えていきそうだ。

●オールドメディアによる古くからある凡庸な言い分としか思えない。それに、今年は外国映画の興行のほうが好調なので、劇場興行収入の高低だけで人気を云々するのであれば外国映画の人気が下がっているとも言えないのではないの?(映画の人気を劇場興行収入の高低だけで測るのはもう時代に合わなくなっているような気がする。)

●新聞社文芸担当の調査研究員が「優れた外国映画が観客に届かないまま埋もれてしまう」のを危惧するのであれば、むしろ『こういう良い映画が配信で今すぐに自宅で見ることができますよ』と喧伝するほうがいいのでは。そのほうが全国津々浦々の観客に届くよ。



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